ゴゾレース gozolace

ゴゾレースを織りなす音は子守歌

昨日4/1(土)放送のNHKちきゅうラジオにて、音クイズを出題いたしました!
今日のブログに関係していますよ( *´艸`)ムフ
↓↓↓↓
クイズの音と正解文

ゴゾ女性の生業であった「ゴゾレース」の特徴

というわけで、クイズ音の正体は、

わたくしの住むマルタ共和国ゴゾ島の伝統工芸「ゴゾレース」を制作する音でした~♪

クイズ正解文にもあるように、その昔、ゴゾ島女性の殆どが、レースを編んで(織って?)家計を支えていたのですねぇ。

ゴゾの子供達にとっては、

「レース作りに使う木製ボビンが奏でる音 → お母さんやおばあちゃんの存在を感じる安心の音 → 子守歌代わり

だったのね♪

柄・ステッチ

ゴゾレースには、特徴的な柄やステッチが存在します。

  • モスカ: 「小さな葉っぱ」の様な、ゴゾ島発祥の模様
  • ヨハネ騎士団(マルタ騎士団)の紋章:「マルタの十字」と呼ばれる模様。
  • レティセラ:ゴゾレースは、古典的レースに見られる「レティセラ(布地に刺繍を施した後、数本の糸を残して糸を引き抜き、ボタンホールステッチで補強しながら幾何学的な模様を作るテクニック)」の外見を保持しながら、新しい模様を取り入れたレース。ちなみに、他ヨーロッパ国(フランス・ドイツ・スペインなど)のレースの殆どは、その国々の伝統刺繍の影響を受けながら発展したそうです。

制作に使う道具

道具はシンプルでコストも低く(シルク糸は高価)、持ち運びが簡単です。

  • ピロウ:レース作りの土台。中にわらとワタを詰め新聞紙→茶紙で巻いた、高さ60cm位直径15cm位の棒。枕のようなのでピローと呼ぶ。
  • パターン:型紙
  • 裁縫ピン:ピローの上に糸をとめる為に使う。
  • ボビン:長さ約15cm位の細い木製ボビン(糸巻き)。約50本は使う。
  • :主に白・クリーム色・黒の上質なシルクかリネン、または綿。
ゴゾレース制作風景
プロによるゴゾレース制作風景

制作と技法

長さ約15cm位の細い木製ボビン(糸巻き)を使って織る、ボビンレースという技法が用いられています。
編むというよりは織の技法を用いたレースで、レース作りの土台に枕の様な棒を使用することから「ピローレース」とも呼ばれています。

  • ボビンに巻いた糸を、ピローの上に固定した型紙の上に、ピンで固定し始点とする。
  • ボビンを両手で持ち、左右に交差させ交差をピンで固定しながら、平織り・綾織・重ね綾織りの3種類で、様々な模様を織り上げてゆく。
  • 制作時の姿勢は、やや足を開いた状態で椅子に座り、ピローの底の部分を自分の股の間におき、ピロー上部を壁などに寄りかけてレースを織っていく。

ゴゾレースの歴史

17世紀ヨーロッパで発祥したピローレースは、マルタ島経由でゴゾ島に伝わり、ゴゾ島民の生活に多大な影響を与えました。

マルタ島にレースが伝来~マルタレースの確立

17世紀、イタリアのジェノヴァで発祥したピローレースが、マルタ島に伝わって来ました。
その頃のマルタ島では、主に教会用のシンプルで機能性に優れたレースが生産されていました。

18世紀に入ると、マルタ島にフランス人が入植してきました。
お洒落好きなフランス人は、マルタのレースに大注目!
マルタレースは、裕福層の晴れ着にも使用されるようになりました。

そして19世紀、イギリス人が入植してきた頃になると、ジェノヴァ流より「ざっくり」とした糸を使用・「ヨハネ騎士団(マルタ騎士団)の紋章」をデザインに取り入れる等、マルタレース独自のスタイルが確立されていきました。

ゴゾ島にレースが伝来~ゴゾレースの確立

1846年、ゴゾ島に住むマリアンナ・アッタルドという若い女性が、神父様から小さなマルタレースを譲り受けます。
彼女は、その小さなレースをもとに、独学でレース作りを学び・研究。
新たなレースパターン(型紙)の考案や、サイズの大きいレース作りへの挑戦を繰り返し、ゴゾレースの基盤を築いていきました。
更には、自分の妹や周囲の女性達にレースの技術や手法を伝授し、ゴゾ島の女性達がレース作りで生計を立てていく切っ掛けもつくりました。

マリアンナ・アッタルドが考案したモスカ模様」(小さな葉っぱの様な模様)は、今でもゴゾレースの一番の象徴として織り込まれている模様です。

その後、ゴゾには、レースの学校・レースと刺繍の手工芸工場が設立され、ゴゾレースはゴゾの経済を支える重要な産業へと発展しました。

19世紀が終わる頃には、「主婦が空き時間でレースを作り→売り→家計を助ける」ことが、ゴゾ女性の一般的な生活スタイルとなりました。

現在のゴゾレース

現在のゴゾレースは、家計を支える生業から余暇を楽しむ趣味へと移行し、もはや島の経済を担う産業ではなくなりました。

しかし、いまだゴゾの象徴であることには変わりなく、
土産店には、たくさんのゴゾレースが並んでいます。

例えば

マルタの十字とモスカ模様のゴゾレース
マルタの十字とモスカ模様が連なる、直径20cmのリネンの敷物(約1000円)
モスカ柄シルクゴゾレース
モスカ柄の20cm角のシルクの敷物(約1400円)

その他、綿やリネンのブックマークやコースターが500円くらいなど、かなり手頃な値段で買うことが出来ます。

まあね、買う側としては嬉しいけれど、正直心配になる値段よね…。

だって、上の写真の敷物なんて、制作に丸一日費やしているそうですよ!

でも安くしないと売れない…

コレ、ゴゾレースに限ったことではないけれど、プロの後継者の数も減っている様だし、深刻だわ(@@)

ゴゾの春を彩る野生の花々
続・ゴゾの春を彩る野生の花々